本まるさんかくしかく Blog

古書販売の「本まるさんかくしかく」のオーナーブログです。 見た目の良さにこだわって、少し不思議だけど素敵なビジュアルの古書を趣味で集め、 気づけば、数千冊に。今では販売するまでになりました。ここで個人的な感想とともに 古書をご紹介していきます。

非日常

HENRY DARGER'S ROOM / 小出 由紀子, 都築 響一 / IMPERIAL PRESS 2007年 / 200x164mm / 112ページ hardcover
は「本まるさんかくしかく」で販売中です。

 

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生前は清掃の仕事で生活し、
辛うじて社会との接点を持つ、
半ひきこもり状態で1973年に没した
稀代のアウトサイダー・アーチスト、
ヘンリー・ダーガーが、
人生後半の40年を過ごした部屋の内部写真集。

 

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雑誌の少女たちの写真やイラストを写真に撮り、
それを拡大したり縮小したり、
トレース、
コラージュして
彼は『非現実の王国で』という題の付いた小説15巻と、
挿絵数百枚を
この部屋で仕上げたのです。

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一般的に人は、
日常と非日常を往来してアートを生み出します。
でも、彼は現実と空想は分かちがたく結びついていたようです。


無慈悲で空虚な現実より、
豊かで甘美な空想世界がリアルさを増してゆき、
彼はこの部屋に居ながら、『非現実』を生きていたと言われる。


特異なアートを生み出した特異な人生。
どちらもだれもやってくることのない
この部屋で起こったのですね。

 

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イヤァー、
彼のような状態って
自分にもありますね。
どれくらいまでなら
普通なんでしょう?


舞台裏というべき彼の部屋を
写真とは言え、見ることにどれほど
価値があるかは
よく分かりません。

 

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