あめつち /
川内倫子 (著) /
デザイン:Hans Gremmen /
青幻舎 2013 / 344 x 246mm /
ページ振り無し /
は「本まるさんさくしかく」
で販売中です。
2012年、
東京都写真美術館にて開催された
個展「照度 あめつち 影を見る」に
出品された新作《あめつち》。
阿蘇の野焼き
を中心に
プラネタリウム、
夜神楽、
自宅から見上げた空、
そして嘆きの壁など
を収録。
写っているのは
阿蘇の草千里。
2月から3月の早春の頃に
行われる野焼きは、
草原を維持するための大切な作業らしい。
野焼きをすることで前の年に生えた枯れ草を焼却し、
森に変わってしまわないようにして
牛馬が好むネザサなどの新しい草を助けます。
そうすることで牛や馬の放牧の場として
草原を維持できるそうです。
阿蘇の草原は『日本書紀』にも書かれていて、
1000年以上も人が自然と共生してきた場所。
検索していたら、
三好達治の『大阿蘇』
という詩の抜粋が
紹介されていました。
馬は草をたべてゐる
艸千里濱のとある丘の
雨に洗はれた青草を
彼らはいつもしんしんとたべてゐる
彼らはそこにみんな静かにたつてゐる
ぐつしよりと雨に濡れて
いつまでひとところに
彼らは静かに集つてゐる
もしも百年が
この一瞬の間にたつたとしても
何の不思議もないだらう
こんなところがあったのか!
と筆者の感動も綴られていました。
1000年を超えて
守られた場所には
圧力というか、
磁力というか
パワーを感じ取れるのかも。
大好きな
天空の城ラピュタで
シータが詠った詩を
思い出しました。
土に根を下ろし
風と共に生きよう
種と共に冬を超え
鳥と共に春を謳おう
わたしも思いました。
写真家とともに。
こんなところがあったのか!