HENRY DARGER'S ROOM / 小出 由紀子, 都築 響一/
は「本まるさんかくしかく」で販売中です。
『非現実の王国で』という題の付いた小説15巻と、
その挿絵数百枚を描いたのがヘンリー・ダーガーです。
その彼の部屋の写真をまとめたのが本書です。
部屋はその住人の本性が表れるといいますが、
大家を除けば、誰もやってこないこの部屋は
住人そのものだったようです。
部屋には大量の画材と
参考資料“ソ−ス・マテリアル”が貯えられていた。
ぬり絵、絵本、新聞、雑誌… 路地裏のゴミを漁って、
入手した品々を部屋に持ち帰り、
使えそうなイメージを切り抜き、分類し、スクラップしていた….
無慈悲で空虚な現実より、
豊かで甘美な空想世界がリアルさを増してゆき、
ダーガーはこの部屋に40年、居ながら、
『非現実』を生きていました。
特異なアートを生み出した特異な人生。
どちらもこの部屋で起こりました。
かれが体調を崩し、
この部屋を去った後、大家が片付けている時、
作品を発見しなければ、
彼も彼の作品も人目に触れることは
無かったといいます。
引きこもるほどでなくとも、
自分の世界に浸ることは
不思議なことではありませんが、
本と世界中の雑貨(ガラクタ)に
埋もれた自身の部屋を
ダーガーが比べて、
いろいろ考えております。